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仲道郁代のアウトリーチ [ピアノ]

仲道さんは学校はあんまりやっていないと言っていたけれども、内容だけでなく話し方などは本当に聴き手を引き込むのが上手い。それがとても自然な言い方だから不思議である。
でも確固たる自信があるのだろう。こういうブレのなさはすごいと思う。
下記を見ての通り、最後に2曲本気で聴いてもらう他はワークショップのようにいろいろな心の体験を下もらう方向で進行していて、おもいのほか徹底しているな、と感心した。

IMG_1121.jpg2010年6月7日 10:45-11:45

尾道市高須小学校音楽室  6年生96名
仲道郁代(ピアノ)

先生
入場
おはようございます(おはようございます)
今日はみんなの前でピアノの面白さを知って貰えないかな、と思って楽しみにやってきました。
まず後ろを向いてください。今日の演奏は後ろにいる大人の人たちが努力してくださったので実現しました。ありがとうと言いましょう(ありがとうございます)
目を少し上げると,肖像画があります。みんな怖そうな顔をしている。
今年は、上の方にあるショパンが生まれてから200年。200-300年も前の人の曲をすてきだなと思って聴くのだけれど不思議です。みんな生きていたのですね。リストは若い頃はハンサムで今ならばあらしとかスマップとか(えー)と一緒で追っかけがいて、聴いて気絶しちゃったりしていた。
もっと古い人たちはおもしろい髪型でしょう。あれは・・・(カツラ)よく知っているね。ぼさぼさのベートーヴェンは自分の髪。当時はカツラをかぶらないと王様の前とかに出ることが出来なかった。今の制服みたいな感じ。中はどうなっているのかは判らない・・・(ない)
さて、まずモーツアルトのきらきら星を弾こうと思う。今日のテーマは「音を見たり触ったりすること」。
まず見てみよう。この曲は変奏曲といって,たとえばモーツアルトと他のピアニストがピアニスト対決みたいになってやっていたと考える。誰かがテーマを出す<弾く>。このテーマを様々に変奏して上手い方が勝ち・・・みたいなイメージで聴いてみて。
まずコロコロと弾いてみよう<弾く>、次は左手が早く動く<弾く>、今度は3連符にしてうきうきしているように,右手は上がったり降りたりする弾く<弾く>低いところで空気がどう動いているか<弾く>今度は此処の上で音のポップコーンにみたいにはねる<弾く>。どう見えてきたかな・・・.まだ見えない人もいる?(数人)
今度は登って降りる<弾く>でもいつも楽しいばかりでは寂しく<弾く>ピアニスト対決だからかっこよく弾かないと・・・<弾く>,おばさまのような人が聴いているときれいな音がうれしい<弾く>私は景色の遠くまで来てその拡がりのように弾く<弾く>一番最後は華やかに終わります。<弾く>
今度は少し手伝って・・・。やってくれる人。はい、あなた。ではピアノに座って・・・。
じゃあ、ピアノでホームランを打ってみて・・・(こどもこまる)(がんばれーの声がかかる)
(弾く)今のはちょっとホームランと言うよりも(バント,ファール)じゃあもう一回、後ろの壁に届くように(弾く)
では次の人、ではあちらの大ちゃんに音を打って(やってみる)キャッチ(とる)。
私もやってみる、<弾く>今のは転がっただけ。今度は窓の外に飛ばす<弾く>(おーっ)
どう?、音が見えてきたかな。
では次に色を感じてほしい
M こぎつね を弾く
何色?(水色、青、白、水が凍ったときの中の白・・・)
じゃあ、氷が凍ったと言うことはどんな・・(冷たい)そう、温度もある。
もう一度弾く、堅いか柔らかいか
M こぎつね
何かある人(つるつるしてる)どんなつるつる?(石をさわってるかんじ)ほかにあるかな(ふわふわの綿、軽い石、雪みたい)とけたような感じかな・・・
作曲の人はこの曲に「こぎつね」ってつけたのだけれど、皆はどう思っても良い。でももし狐ならば,今どんな気持ちだろう
M こぎつね
(お母さんがいなくて寂しい、友達がいない、ひとりぼっち・・・)
別のシチュエーションでは?(凍え死にそう、恋してる)
そのあとはどうなるんだろう。
では次に、竜という曲がある
Mりゅう
今度はみんなが私にこんな感じの竜の状態、というのを言ってみて(黄色で弾んでいる)良いですね、でももう少し足して見て・・(子供たちが遊んでいる)もうすこし・・・(何かに追われて逃げている)ちょっと両立しないね(鬼ごっこ)
じゃあやってみる
Mりゅう
どうだったかな。ほかには・・(大人の竜でスマートでかわいい)じゃあやってみよう
Mりゅう
さっきとちがった? ちがったと思うけれどそれで良いのです.違いがわかることは大事。違いのわかる子供になろう
さて、此処でこの人を紹介する。この人はピアノの調律をしている人です。蘇我さんと言います。ピアノは猫が乗っても音が出る,押せば弾けるものだけれど・・・。このピアノのばらしてみる。(えー)<蘇我さん、つぎつぎに分解していって、アクションを引っ張り出す(あー)。見えてるかな。じゃあ、君と君と君。前に出てこの鍵盤を押してみて。はいみんなに見えるようにね。(それぞれ鍵盤を押す)
押すとこれが上がって弦をたたく。だからピアノは打楽器。この白いところはハンマーで何で出来てる?(わた)・・・これは羊の毛、フェルトでできている。ではこの鍵盤の数は?(しらない)88。弦は?・・・(・・・)大体230本.だから調律の人は大体230本の音を合わせる大変な仕事。じゃあ鍵盤はどのくらいの高さを動かすか(2センチ、1.5センチ・・・)1センチです。その重さは?(1グラム、2グラム・・・・)大体50グラムくらい。食べ物ならば何だろう?(・・・・)卵くらいの重さ。
この弦だけど・・聴力って習ったかな(習ってない)そうか、弦も引っ張られていて、この一本の弦にどのくらいの人がぶら下がっている?。一つの弦に70-80キロくらい。ということは全部では大体20トンくらいの力がかかっていることになる。大体像くらいかな。だから、弦が切れたときに,この辺に立っていると刺さって命の保証がない。
ではピアノの音の大きさを聴いてもらう。8人くらい前に出てきて。そばで聴いて。<弾く>どう?(大きい)ピアノはどこで聴くのが音が大きいかな?(上、下)
そうしたが大きい。潜ってみて・・・。下に響板というのがあって.そこに響いて音になる。それが屋根に反射して前におとがでる。でもピアノがいくら好きでもピアノの下に寝てはダメ。自信があったらあぶない。
さて仕組みを見てもらった。でもわずか1センチ、50グラムくらいのことだけれどいろいろと音が変わる。それって楽しいこと。
ではこんどは心の耳でノクターン,夜に想うと書く,を聴いてみてください。心の耳がないと聞きそびれてしまう。
M ノクターン
何か見えたり聞こえたりしたかな。さっき、こぎつねやりゅうを聴いてもらったけれど、先生に頼んで、音楽を聴いて絵を描いて、それでお話を作ってもらいたいとお願いしてある。CDを送るので、やってみてください。
最後にショパンの「英雄ポロネーズ」を聴いてもらいたい。ショパンは今年うまれて200年。私が今中2の子供が小学生の時に一緒にポーランドを旅したのをまたNHKが再放送するので,見つけたら見てみてもらえるとうれしい。
ポーランドはショパンの頃、ショパンが生まれたときも死んだときも地図にない国だった。他の国が攻めてきて、占領されてポーランドという国はなくなっていた。みんなは取り返したいと思っていた。ショパンは音楽の才能があったので外国に出て作品を書くようにいわれて20歳の時からずっと外国にいた。両親とも友達とも会えない。それでなくなる前に心臓だけはポーランドに・・と言った。今心臓はワルシャワの教会の中にある。お墓はパリだけれど。
ポロネーズはポーランド風という意味だけれど、戦争に出かけるときとかに更新しながら踊る曲だった。だから楽しいのではない。この曲にはショパンの気持ちがたくさん入っていて、今聴いても,勇気や・・・・/などが貰える。
途中で蒸気機関車のような音が出てくる。ちょうど蒸気機関車が出来た頃で,帰りたい気持ちが込められているかもしれない。
M 英雄ポロネーズ

花束、お礼の言葉
お礼の合唱
終了

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コメント 3

ファンなのですけど

児玉 真さま
初めてメールします。検索して知りました。さすがにプロのプロデューサーさんはblogを二つやられているんですね。
仲道郁代さんのファンにとって、このレポートはほんとうにうれしいものでした。幸せなこどもたちです。
私もこういう授業を受けたかっです。仲道さんはトークもご本もお上手で大好きです。
昔のピアノを弾くテレビも見ました。ただちょっとファンとして気になることもありましてね。
プロの方のブログに勇気を出して書きますが、この頃の彼女のピアノがちょっとお疲れ気味に感じるのです。円熟してきたのかもしれません。そうだとうれしいのですが、この前聴いたコンチェルトもガンバレ~と声をかけたくなるぐらい、ちょっと残念な感じといいますか今ひとつの出来栄えでした。
こどもたちはこういう出会いがあり、とても幸せですし、私もそういう授業を受けたいと思いますが、
プロのピアニストはステージの演奏で、私たちをもっと感動させて欲しいのです。学校コンサートの素晴らしさはこちらのブログでよくわかりました。
最近のピアニストは監督も脚本も女優も出来ないとダメなのでしょうね。でも私は仲道さんのショパンやベートーベンを聴いて、もっと感動したいのです。私はお馬鹿なことをダラダラと失礼も顧みずにメールしていますが、
ファンとしては仲道さんの話術ではなくて、もっとピアノリサイタルやオーケストラの協奏曲で感動させて欲しいのです。学校コンサートで素晴らしいことをやっておられる仲道さんの記事を拝見し、嬉しかったのですが、ちょっと複雑な感じも受けました。
前みたいに、もっとリサイタルの出来栄えを充実させて下さい。最近悩んでいる長年の仲道ファンより。失礼をおわびします。プロデューサーさまには別のお考えがあると思いますが
仲道さんはお話しではなくて、ピアノそのものでファンを喜ばせて欲しいです。
こどもたちの気持や関心を惹き付ける仲道さんはとても素敵です。彼女にしか出来ないことと思います。でもでもなのです。お話し付きコンサートがうまい
そういうのをたくさんなさることでリサイタルやコンチェルトの音楽の内容が、ちょっとおざなりになっているとしたらファンはやはり複雑です。私の思い込みが過ぎるのでしょうけれど。認証、ドキドキしながら入力です。
by ファンなのですけど (2010-06-10 23:17) 

ファンなのですけど

ニッポン初戦勝ちましたね。この前は失礼な書き込みをしまして申し訳ございませんでした。
プロの方がなさっている学校コンサートの意義は
こちらのすばらしいblogレポートで理解しているつもりです。
学校コンサートを企画した方が
自分たちのやっていることに満足していたり
大人都合の充実感を覚えてなければ
こどもたちは幸せなことでしょう。
私が個人てきに応援しているつもりの仲道郁代さんが
テレビなどのお話しがお上手なのも
ファンは知っております。

前のダラダラしたコメントと重なるのですが
オーケストラと共演したときの仲道さんと
室内楽を行った仲道さんを聞いて
この頃お疲れなのでは
ととても心配したのです。
演奏家に好不調はあります。
私だけが主観的に彼女の演奏のことを心配しているだけかもしれませんが
彼女は学校コンサートで完璧なトークをして音楽教育のプロをうならせるのではくて

ステージでの演奏をもっと充実させるべきではと思います。
学校コンサートはこれからも続けて下さい。
でも起承転結が見事すぎる学校コンサートのレポートを拝見し
少し複雑だったことを告白します。
学校コンサートのマニュアル化が最近の流行りなのでしょうか?
お話しがこなれて良かった
意図がこどもに伝わった
時間配分が慣れてきた
というプロの評価は
理解したいのですが
うまくいったとして
プロのコーディネーター?や演奏家の自己満足には陥らないのでしょうか??

私が古いタイプの考えの音楽ファンであることは
わかっているつもりですが。
by ファンなのですけど (2010-06-15 02:57) 

ファンなのですけど(終わりにします)

プロの音楽教育のコーディネーターの方に、
失礼なコメントをしておりますが
私は意地悪をしているのでも
だれかを困らせたいのでもありません。
若い方がお使いになる荒らしでもかまって欲しいちゃんでもありません。

アウトリーチというものは
進行ぶりや見事なお話しが評価されるのでしょうか
という純粋な問いかけなのです。

お話しすばらしいですよね。
でもこちらにたくさんある進行プランや台本?を拝見したところ
じつはこどもよりも
アウトリーチを企画なさった大人や先生が喜びそうな表現のてんこ盛りなのですね。

ポロネーズとはなんとかの踊りだけど、ショパンは…ですとか
蒸気機関車がとか
これらのお言葉
そのまま、こどもの心に届きますかね。
蒸気機関車の音みたいという説明を聞いて
へぇ…と思うのは蒸気機関車を記憶している大人でしょう。
こどもは図鑑で見たかもしれないけれど
音や走る感じを知らないのでは…、

でもそういうお話しをすると
評価が高いのですか?
これはオカシイです。
お話しは大事です。構成や進行も大事です。でも一番大事なのは
仲道郁代さんが素晴らしいピアノを弾いたかどうか
こどもが、音を聞いて
ワクワクドキドキしたり
ハッとする瞬間があったかどうかでしょう。

音楽の素晴らしさを身体いっぱいで受け止めてくれたかどうか。

それよりも挨拶から、たくみなお話し、お礼、合唱の60分コース?の進行が良かったか
工夫があったかだけに
皆さまの関心が向かっているとすれば
それはよろしくない。
アウトリーチ、ワークショップの大事さは
私なりに理解しておりますが
ピアノやバイオリンの演奏のレベルではなく
話術を磨くとか進行のマニュアル化を
ということになっているならば
それはとてもオカシイ。
要するに、いいことを私たちやってますよねえ~評価されますよね
という大人の自己満足です。
失礼をお詫びします。
アウトリーチの進行に演奏家が工夫を凝らすのはいいのですが
そのために
音楽がどこかに行ってしまったり
リサイタルや協奏曲の演奏が通りいっぺんになっているとすれば
音楽ファンの気持ちは離れていきます…
仲道郁代さんは学校コンサートでもスターのようで
私も一度体験してみたいです。
しかし最近の彼女の演奏に残念な気持ちばかりを抱くファンの気持ちも察して下さい。
アウトリーチ(事業というのですか)は進行の善しあしを競うのでしょうか。
by ファンなのですけど(終わりにします) (2010-06-17 01:30) 

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