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ショパンのアナリーゼプラン/中川賢一のレクチャー [ピアノ]

東フィルでドクトル中川で売れてきてしまった中川賢一さんだけれど、尾道ではショパンのアナライズをお願いした。アナライズと行っても、楽曲分析という学究的なことではなく、初心者向き。
彼はこの分野にはとても意欲を燃やしているのでちょうど良いと思う。本当は数回のワークショップを考えたのだけれど、様々な事情で出来なかったのだけれど、おもしろいコミュニティプログラムになったと思う。
これをメモするのは至難の業だったので、めちゃくちゃ間違いがあると思う(調べる時間がないので・・・)。一応それを承知の上、読んでほしい(要は構成を見るだけにしてねと言うこと)

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【アナリーゼ風レクチャー】
2010年5月23日
尾道中央図書館
音楽探偵中川賢一 ショパンの秘密を探る

入場
・ショパンはヒットメーカーで、いろいろな曲を作った。たとえばみんなが知っている
<いろいろな曲10数曲のさわりのみ弾く>
こんな感じでたくさんある。また歌とか他の楽器とかいろいろな形で弾かれている。
【ショパンの人生】
・このショパンが生まれたのは200年前。どんな時代? 生まれた環境とかはどんな感じ?
ショパンが生まれた2年前にベートーヴェンがこの曲<運命を弾く>を書いている。第9の合唱はショパンが12歳の時。場所は遠いけれど、同じ時代の共存した。シューベルトもまだ13歳で曲は書いていなかった。
・ロマン派といわれているけれども、ロマン派として生まれたわけではない。でも同じ年にドイツで生まれたのはシューマン。次の年にはリスト。彼はハンガリーで生まれてウイーン経由でパリに行った。ショパンもポーランドからパリに行った。一つ上にメンデルスゾーンが居る。ワーグナーは3歳下。この時代不思議に集中して才能が出ていて、今有名なメロディとかは4人を抜いたらどうなっているのだろう、という感じである。
・ショパンはワルシャワから50キロくらい離れたところで生まれた.幼いときにワルシャワへ。お父さんはフランス人で、ずっとポーランドでフランス語を教えていて、ついに帰国しなかった。ポーランドから出てパリに行き戻れなかったショパンとは正反対。親子の運命はおもしろい。
若いときは別に英才教育ではなく、6歳の時に習ったらしい。でもめきめきと上手くなって、7歳にはもう曲を書いた。ポロネーズという曲<弾く> 聞いて頂くと腕が交差するとか、指さばきとか7歳とは思えない。そして次の年にはコンチェルトを弾いている。天才と言えばモーツアルトだけれど、彼が5歳の時に書いた曲は<弾く>7歳の時の曲<弾く>
ショパンの7歳とはずいぶんちがう。ショパンの天才性店が表れていると思う。
17歳の時にソナタを書きワルシャワでデビューリサイタルを弾いたのが20歳くらいの時。このときコンスタンツェという人を好きになって書いた曲がコンチェルト第2番のこんなメロディ<弾く>
半年後パリに出発するが、その告別の演奏会で弾いた曲。やはりコンスタンツェを思って書いたといわれている<第1番の第2楽章>。
そのあとはずと外国にいる。何故かは実は?だけれど、ロシアの圧制下革命を起こそうという動きがあり、国外に逃がしておいた方が良いということだったと思われる。まずウイーンにいたのだけれど此処は娯楽的な音楽が好まれており、音楽の方向性が違うのか受け入れられなかったのではないか。
当時は仕事があってその町にいくと言うよりも、行って有力者にこんなことが出来るよとアピールして先生の仕事などを紹介してもらうというのが普通だった。
ワンレッスンは今の7-8万くらいと言われているから決して安くないけれど、上流階級とつきあうのにはお金もかかったみたいである。
当時はサロンで弾くことも多く、人前での演奏はあんまり好きでなかったとされるけれども、演奏家としてコンサートの依頼も多く、演奏会用に作った明るい曲も多い。
リストは大ホールで拍手喝采をもらうのが大好きであったが、ショパンは反対。
今ならばマイケル・ジャクソンとかの感じかもしれない。パリで26歳の時にマリア・ボジンスカヤと再会する。彼女と恋に落ちてマリアのために書いた曲がある。そのあと、喀血してマリアの父親に分かれることを強要される。婚約を破棄した。今、別れのワルツと言われている曲はその曲。
そのあと、一気に作風が変わる。体も悪くなり37歳くらいまでしか曲を書いていない。ソナタの2番やプレリュードなど悲劇的な曲が増える。そこに現れたのがジョルジュ・サンド。レジスタンスの精神を持った資産家。彼女との関係は母と子のような感じだった。
30歳過ぎに一時元気になって演奏会も開いたりした。この頃30歳前半は良い曲をたくさん書いている。
しかし、37歳の時にサンドともわかれてしまう。
この絵はドラクロワの絵だけれど本当は一つの絵。それを二つに分けた。
子犬のワルツといくつかのワルツを作ったのが最後で、あとは遺作である。絶筆と言われる、マズルカは病んだ曲。
ポトッカ夫人?との関係も判らない。憶測を呼んでいる。若いときの曲が彼女に献呈されている。謎である。
以上がショパンの一生。
次に曲の魅力を
【曲の魅力】
ノクターンを使って彼の曲が何故受けるかを解析したい
① まず、曲はじめの6度の跳躍。あこがれなどの表現として受け入れられている。
② まとわりつく音。変奏的、装飾的に使われている。ジャズのスタイルに似ている。半音階的にまとわりつく装飾でいくら複雑になっても聞いたことのある気持ちにさせる。
③ ころころしたおと。彼はオペラのコロラトゥーラが大好きで、その技法を取り入れている<テープでベッリーニのオペラを聴く> この感じはポーランド語の言葉からも来ているかもしれない<ポーランド語の会話>こんな風にシュクシュクした感じが多い。マズルカでも言葉から来ているものが多いのではないか。
【時代背景】
① ショパンの2歳くらいの時、ジョン・フィールドというイギリス人でロシアにいた人が始めてノクターンという曲を作った<弾く>。何か似ている気がしますね。6歳くらいの時に作ったこんな曲もある<弾く>
【ピアノが良く鳴る】
ピアノはペダルがあって、弦を解放すると様々な倍音が出る<弾く>
この音を使って書かれているので、ピアノが良く鳴るし、斬新な感じを与える。
ペダルが無くてはショパンではない。モーツアルトやベートーヴェンはペダルが無くても成立するけれどショパンはダメ。倍音の使い方がちがう。
では、このノクターンを・・・
M ノクターン
フィールドのノクターンの最後の部分とはよく似ている。ベッリーニのオペラのメロディと似ているところもある。
彼は、いろいろと、周りにあるアイデア等に刺激を受けて曲を作っている。
スピンする音とかの技をちりばめている。
この頃に出来て彼が好んで弾いていたと言われるプレイエルのおとはこんな感じ<テープを聴く>ぴーんと言う音がする。これはハンマーが昔はフェルトではなく動物の皮だったし、フェルトになっても厚みがなかったのでこういう音がする。

でも、ショパンはモーツアルトと関係がある。それはモーツアルトの息子。F・X・モーツアルト。彼はショパンが5歳の時にクラクフでポロネーズという曲を作曲した。これがポーランドで流行したという。この曲の影響を受けたのではないかと思える。
ポロネーズは貴族の踊り。こんなリズム、みんなも一緒にたたいてみて・・・
では、最後に行進曲風の軍隊ポロネーズを弾いて終わりにする。途中でこのリズムが繰り返し出てくるので聴いてみてください
M 軍隊ポロネーズ

終了


田村緑の名人芸 [ピアノ]

このフィールドノートも140件をを超えることになった。参考に見ている人も多いようなので、今後、見る人の利便を考えて、カテゴリーを行き先ではなく、楽器ごとにすることにする。行き先はおおむね学校が8割以上だと思うが、それは、コミュニティがミニコンサート的になるので学校のほうが工夫に富んでいると言うことがある。
ジャンルは、ピアノ、弦楽器、管楽器、弦楽アンサンブル、管楽アンサンブル、声楽、打楽器邦楽その他の7種類。以前の物も変えていくつもりだけれど、少し時間がかかるかも。

田村緑さんのアウトリーチは確かな話術での子どもとのやりとりと、新しいアイデアで聞く人には魅力的なものだ。子どももそうだが、学校の先生とか演奏家でも感心する。北海道ではピアニストが「こんなことわたしも知らなかった」と感心していたくらい。そして、音楽の楽しさを実感するみたいなのである。すごい。
今回は長崎で初めてのソロでの機会。熊本からも演奏家が見に来ていた(熊本県立劇場がやっているアウトリーチ事業の登録演奏家である。研修に来たと言っていた。熊本もこれだけ力を入れてくれれば演奏家も幸せである。
今回は1時間コース。少し伸びたけれど・・・

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2010年3月5日 
長崎市西町小学校6年生 約39名
田村 緑(ピアノ)

※田村緑さんのアウトリーチは、とても素晴らしいのだけれど、メモにはしにくい。子どもを集めてピアノのしくみを話すその話し方が天才的に上手いと思うのだけれど、それも、書くことが困難。だからあんまりフィールドノートにしにくいけれど、ちょっと紹介する。

子どもが入ってくると、田村さんは M子犬のワルツ を弾いている・・・
子どもが座ると演奏をやめ、先生が田村さんを紹介。

こんにちは(こんにちはー)。ピアノを弾く人のことをピアニスト、という。わたしはピアニストの田村緑といいます。昨日東京からやってきました。明日はブリックホールで演奏会がある.ブリックホールに行ったことある人?(全員) よかったら来てね
今から弾くのはくるみ割り人形。弾くときは何時も友達を連れてくる。これは?(くるみ割り人形)。何処で割るのかな(口)。口はどうやって開ける(後の・・・)そう、こういう風に動かす。
くるみ割り人形の話を読んだことある人?(・・・)クララちゃんがドロットルマイヤー博士から人形をもらう。これはバレエの音楽、バレエってわかる?(おどる)舞台で踊りながら話が進む。音楽もオーケストラという大きな編成。
クララが人形をもらって嬉しくて行進する
M1 行進曲(くるみ割り人形)
聞いたことあった人?(ほぼ全員)。今日は一台で弾いたけれど、もともとはオーケストラでひかれている曲だからピアノでやるのはすごく大変。でも年末にはブリックホールとかでやることもあるから機会があれば見てみてください。
さて、ここで、この場所を音楽付きの美術館にしたい。美術館には何が必要?(絵)そう、だから持ってきた。順番に一枚一枚絵を見てもらう。立ってずっとこちらを回って絵を見て欲しい。どんな絵があったか、どれが好きか、と思いながら見てください。あとで聞きます。ではみんな立って・・・、音楽美術館です。
M2 プロムナード(展覧会の絵) ※子どもはピアノの後ろにある絵(5枚)を見て席に戻る。
どの絵を覚えているかな?(1枚目の卵の・・・)。これはバレエのコスチューム。それも子どもがひな鳥になる絵。これをつけて踊るデザイン画です。
他には?(4枚目の・・)これは時計台「鳥の足のある小屋」。鳥の足は何処?(指さす)この小屋は飛ぶ。古いロシアの民話でバーバヤーガという魔法使いが住んでいて、子どもを食べてしまう。
他には?(おじいさんが座っている)もう一つおじいさんの絵があった。こっちはお金持ちのユダヤ人、もう一人は寂しそう。こっちは貧乏なポーランド人。
もう一つは?(大きな家)これはキエフという町の入口にある門のコンテストに応募した絵。大きな門、こっちには丸い屋根があって大きな鐘がついている。
これはみんな同じ画家が描いた。ハルトマンという人で、ムソルグスキーの親友だった。でも30才くらいで死んでしまった。それで友達が展覧会をした。死んですぐの展覧会は「遺作展」:という。その中から10枚の絵を選んでムソルグスキーがそれぞれに曲を作った。全部やると40分とかかかるので、その中からひなどりの曲をやる。短いよ。
M3 卵の殻をつけたひなどりのバレエ
何処がひな鳥みたいだった?私はこんなところ<弾く>
さて、今日はホールでなく教室なので教室でないと出来ないことをしようと思う。このピアノのことを知ってもらってピアノ博士になってもらおうと思う。
何時もと違うのは?(屋根がない)そう普通は屋根を開ける。音はこれに当たってみんなの方に飛んでいく。だからピアニストは何時も横向き。この突き上げ棒は長いのと、こんなに短いのとある。ではピアノはいくつの部品で出来ているでしょうか?
3択にする。1番目500個、2番目8000個、3番目2万個 はい、500個だと思う人(無し)8000個(半分くらい)、2万個(半分くらい)正解は8000個。
ではピアノの周りに集まってもらって・・・
  ※ 鍵盤→カットモデル→弦の振動→ダンパー→ペダル(わっ)→駒→響板(オルゴール)→下で聞く。
どうだった? ではここでリストのカンパネラを弾く。リストはパガニーニのヴァイオリンを聞いて衝撃を受けた。それで、パガニーニのこの曲を<弾く>ピアノで弾くようにした。でも舞図化しくするために、音の間に音を入れていった<弾く>。わたしの後ろの方まで来て、よく見えるから、こっちでも聞いてください。
M4 カンパネラ
この曲は練習始めるまで弾けなかった。こう手が届かなかったのだけれど練習しているうちに指が伸びて届くようになった。今でもそうやって努力すると出来るようになることがある。
最後に一緒にカノンをやって終わりたいと思います。<説明>
M5 カノン

お礼の言葉
では退場の音楽を弾くので、音楽に乗って退場してください M 

終了


北九州 早川恵美(ピアノ)さん [ピアノ]

ちょっと考えすぎてかえって迷ってしまうのは一人で考える欠陥である。もちろん良いこともある。
その辺の塩梅というのがなかなか難しいのである。早川さんのの場合もそのような気配が感じられる。とはいえピアノのソリストは基本は孤独だということは当然で、それをどう乗り越えるかも大事なスキルだと思うけれど・・

前回のアクティビティがずいぶん時間を超過したと言う話だったので(見てないのだけれど)、ちょっと心配しながらいったのだけれど、今回はそれなりに整理されており概ね良い感じではあったと思う。多分、やりたいことや言いたいことを見つけたのだけれど,それを伝える方法論が見いだすかどうかでつまずいていた感じはある。それと、やはり、言いたいことの中からいくつも捨てる勇気を持つのは大変なことなのだと思う。

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009年12月18日  
早川恵美
北九州市祝町小学校

先生 あいさつ、拍手で迎えましょう・・・
入場
M1 バッハ:プレリュード
小学校の皆さんこんにちは。
今日は
今の曲聞いたことある人?(3人くらい)誰の曲かな(・・・)バッハ。
何処の人(ドイツ)未だ生きてる?(死んでる)いつごろ?(・・・)
300年くらい前にドイツで生きていた.日本は何時代かな(江戸時代)バッハを最初に弾いたのは、今日はクラシック音楽を昔のものから紹介したいと思ったから。バッハは音楽の父と言われている。たとえばこの曲<前奏曲とフーガ>これもバッハ。どんな感じがした?(なめらか)これは?(激しい)
実はどんな音楽にも性格がある.それを調という。調は24種類あるけれど1曲目は長調、2曲目は短調。その調にも性格があって、ハ長調は素直、ニ短調は絶望的な感じとかの性格があると言われている。
2曲目はきびきびした感じと言われるイ長調の曲
M2 モーツアルト:トルコ行進曲
今の曲は?(トルコ行進曲)誰の曲(モーツアルト)すばらしい。
ドイツの下にあるオーストリアのザルツブルクで生まれた。5歳で初めて音楽を作り、6歳で演奏会をした天才。当時オスマントルコという国が力を持っていてヨーロッパ中に軍隊が活動していた。その様子。
モーツアルトが16歳の時に生まれたのがこの人<運命冒頭>知ってるね(運命)誰(ベートーヴェン)あまりにも有名なのとベートーヴェンは教科書で厳つい感じがして激しい曲の感じがするけれど、こんな感じの曲も作っている
M3 悲愴第2楽章
今の曲どんな感じがした?(優しい感じ)長調?(・・・)この曲は長調だけれどもちょっと暗めの長調という性格がある。悲愴というソナタの2番目。
ピアノは先祖がいて、チェンバロ。ピアノが出来たのが丁度ベートーヴェンの頃。
ピアノはどうやって音を出すか?鍵盤はいくつある(いろいろと・・・88)そう鍵盤がどうなっているかみたいよね。カットモデルというものを持ってきた。チェンバロはピアノのようにたたかないではじいて音を出していた。たたくのは大きな音が出るので変化のつけやすいピアノという楽器が作られた。楽譜の指示もたくさん書かれるようになった。
ピアノのために200曲以上も曲を書いた人がいる。1810年にうまれた。ショパン。変ニ長調は明るくて透明感のある野で当時とても流行った調だった。
M4 子犬のワルツ
ヨーロッパでは1分間のワルツと呼ばれている。もう一曲短調の曲を・・・
明るい人でも感情の変化がある。音楽も同じで明るい性格の曲でも中にくらい部分があったりする・気持ちの変化もあるので気持ちが変わる様子を聞いてほしい
M5 ノクターン20番遺作
ショパンよりも50年ほど最近、ドイツやオーストリアではなくスペインでアルベニスという人がいた。きょくはアルバイシンというのだけれど、アルバイシンは街の名前。グラナダというまちの近くにあってひっそりしたまち。情熱的な感じではなく夫名の人と男の人が言い争いをしていたり、ギターが鳴らされていたりところころと変わる。街の角を曲がると違う世界があるみたいな感じだ。
この時代になるとピアノはもっと進化している.だから指示ももっと細かく書いてある。
言葉でも書かれていて、この世のものとは思えないほど、とかゆっくりとでももたもたしないで、とか書いてあるし、楽譜にはピアノが6つとか書かれていたりする。大変だけれどもとても魅力的な曲。
M6アルベニス:アルバイシン

アンコール M 月の光
終了

広島のアーチスト研修会での田村緑さんのアウトリーチ [ピアノ]

広島の安芸区民センターで行っている,地元演奏家のためのアウトリーチ手法の勉強会(研修)も今年で2年目。
参加者はみんな熱心で気持ちが良い。本当はこういう研修的なことと政策的に考えられたアウトリーチ事業がうまく結びつくと良いのだろうが、まだそこにいくにはなかなか難しいこともあるのだろう。でも、こういうことに確実に興味と能力を持ってくれる演奏家が増えるのは良いことである。
ここでは、話の後にヴィデオも見てもらうのだけれど、ヴィデオでも「思っていたのと違った」と言う演奏家の方が多い、と言うことはアウトリーチという手法はまだまだキチンとは浸透していないのかもしれぬ。
今回は、その研修に田村緑さんを呼び、話をしてもらったのと,実際に小学校に行ってアウトリーチをやってもらった。10数人の演奏家が後ろで見ているというのは、普通子供も(そして田村さんも)決してやりやすくはないと思うけれども、船越小の子供たちはきわめて反応が良かった。不思議。ここの音楽の先生が良いのだろう。そして、田村さんも演奏家の目が気にならなかったようなので、比較的のびのびとした感じでやれたと思う。
田村さんのアウトリーチは,どちらかというとワークショップ型である。ワークショップと言っても「聴くワークショップ」だと思っている。聴くという行為は、受け身のようだけれど、音楽から自分の中のイメージを創り上げていく作業でもあるので、それを意図的に体験できるようにするのはワークショップといえるかもしれないと思うのだ。
絵画の世界で、アーツリテラシーをやっている講座があるが「絵を見て、そこで感じたり分かったりしたことを言葉にしてアウトプットする」ことがリテラシーだと言っている。その意見にはやや??もつけたくなるけれども,そういう手法も確かに必要なことであろう。
今回のプログラムは大体50分強。翌日は1.3組をやる予定だったが、大雨で警報が出たため学校が休校になり、結局先生のためのアウトリーチになった。内容は同じだが丁寧に説明を加えていって結局75分程度かかった。

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2009年7月9日 11:35-12:20(12:28)
広島市安芸区船越小学校6年2組(25名)

子どもが入場時、田村さんは子犬のワルツを弾いている。スタッフや後ろの大人は話しをしている。
時間になったら、先生挨拶でスタート

こんにちは、ピアニストというのはピアノを弾く人。私は田村緑です。一昨日東京から来た。後ろにいるのは窓から見える文化センター、行ったことある人(半分強)
今日は、私の好きなこと、知って貰いたいこと、それから一緒に音楽も楽しみたいと思います。
先ず一曲目は音楽付き美術館というのをやってみたい。美術館と言えば?(絵がある)そう、今日は、まずこのピアノの後ろにある絵を見ながら、展覧会の絵という曲のプロムナードを弾くので、一列目から順番に歩いてこの絵を見て欲しい。
M1 展覧会の絵「プロムナード」
聴いたことある人居るかな(ほとんど)。これはオーケストラでも演奏するけれど、みんなが印象に残って覚えているのはどの絵?(卵の、じいさんの絵、変な家)
これはみんな同じ人が描いた。ムソルグスキーの友人のハルトマン。彼が死んでしまって追悼のための遺作展が開かれた。いろいろな絵があったけれどムソルグスキーはその中から10点を選んでその印象を曲にした。
この卵のは、バレエのコスチューム。このおじいさんは、お金持ちと貧乏なユダヤ人のおじいさん。この時計台みたいなのは、鳥の足の上に立った小屋。この小屋は飛ぶ。中には妖怪のバーバヤガが住んでいる。バーバヤガは人食い魔女。
この大きな建物はキエフの大門。この曲はまた聴く機会があると思うけれど、門のデザインがである。ロシア風の建築、鐘もある。
絵からイメージして曲を作った。今日は一つしか引けないからこの卵のコスチュームを弾く.みんなはどんなことをイメージするかな
M2 卵の殻をかぶったひな鳥のバレエ
こんなところがひな鳥みたいな気がしない?<弾く>
今日はせっかく音楽室なのでピアノの仕組みをお話しする
このピアノいつもと違うけれど・・・(ふたがない)そう、今日はみんなに中を見て貰うために外して貰った。この突き上げ棒がついている。これは屋根を支える。ここにも部品は3個とかある。じゃあ、ピアノの部品の数はいくつくらいかな。3択、1,2000個、2,8000個、3,2万個 ハイ手を挙げて。正解は8000個でした。
では周りに寄ってみて・・・
① 木の枠 木の箱の中にあるのは?
② かねのフレームがあって、弦が張ってある。
③ じゃあ、これ、アクションモデルを見よう。
④ 音がしている、弦をたたいている
⑤ 弦がふるえる。<紙をおいて弾いてみる>
⑥ このたたくものの先に着いているのはある動物の毛、何だろう(ウール)
⑦ ウールだけど・(堅い)
⑧ これがたたく。
⑨ 弦が震える(紙で実験)
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⑩ 音が弦からこの駒を通じて音が伝わる
⑪ 響板が大事。実験(わ、こうざ )
⑫ 響板が音を大きくしていた。
⑬ オルゴール、下に潜って聴く
⑭ そう言うことに興味を持って、自然のことを考えよう。
⑮ 最後にここで曲を聴いてみよう。下にもぐっても良い・・
そのままの位置で
M4 リスト:ラ・カンパネッラ
次の曲は、せっかく広島に来たので、広島の民謡、音戸の舟唄。音戸って知ってる人?(???。この間行った・・・、ぐるぐるの橋)
流れが速い海がある。昔は橋がなかったから、船頭さんが艪で漕いで向こう側に人を運んでいた。静かな曲なので目をつぶって聴いて貰っても良い。
M5 音戸の舟唄
次にパッヘルベルのカノンをみんなと一緒にやってみたい。(カノンちゃんが居る)、
8つの音があってその上でカノンでメロディがくる。カノンは知ってるかな。カエルの唄の輪唱しってるよね、あんなふうに繰り返していく。
元になる8つの音は、この音<弾く>それをこのハンドベルでやって欲しい。それだけではつまらないので、ハーモニーをつける.それはこっちのハンドベル。これをみんなにやって貰う<と説明をする>
では、始めます。まずハンドベルから・・・
M6 パッヘルベル:カノン

どうもありがとう

先生出る
感想、お礼
終了

今野尚美さん 臼杵のおんかつ [ピアノ]

臼杵の担当である佐藤氏は、小学校のうち2校を、今年度で統合により廃校になる小学校(南都留小学校と戸上小学校)を選んできた。これは、今野さんのことを考えるとかなりヒットだったと思う。今野さんはこの2校の子供の文集とか思い出を言葉にしてもらったものをもとに、歌詞を作り作曲した。短い時間に本当に大変だったと思うのだけれど、2月という時期を考えると思いでつくりをどうしようかと先生たちが考え、また先生もその感慨を持っている時期。
最後にその曲を歌うというプログラムである。事前に楽譜と伴奏のテープを送ってもらっていた子供たちはきっちりと練習をしていたみたいで、はじめからちゃんと歌えていたので、最後に先生を前に出して対面で歌って終わったが、今野さんがこんなに泣きながらピアノを弾いたのは初めて・・と言っていたように、子供も先生もいい思い出の時間になったようだ。
写真は、最後に先生を前に出してうたった最後の瞬間。

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2009年2月6日 10:40-11:25
臼杵市 南津留小学校 全校生徒

入場
南津留小学校の皆さん、こんにちは
私は今野尚美と言います。短い時間だけれど楽しい時間を過ごしたいと思います。
私は一昨日東京からやってきました。みんなのことは、作文を読ませていただいたので少し知っている。いい学校だなと思いました。
たとえば、6年の後藤君の作文で、南津留はいいことが3つあると書いてあった。一つ目は緑が多くて空気がきれい、二つ目は行事がいっぱい、3つ目は友達がたくさんいてみんなが仲良しで遊ぶこと。
なくなるのはさびしいけれど・・。名前や校歌が変わるとなくなってしまうのが悲しいという人もいました。まず、みんなで校歌をうたいたいと思います。
M1 南都留小学校校歌(全員で3番まで)
私は三重県の伊賀というところで生まれました。ここの景色はその伊賀にとても似ている。山があって、家族の野菜作りとかを手伝いながら育ちました。
小学4年の時、新聞の片隅に小さなオーディションの広告があって、良いなと思ってそれを目指した。その時に弾いていたのが「ゴリウォークのケークウォーク」という曲。ぜんまい仕掛けの黒人の子供が踊っている。遊びや、くすくすという声<弾く>のような感じのところもある。そんなことを感じながら聴いて
M2 ドビュッシー:ゴリウォークのケークウォーク
どんな感じだったかな
さて地元の高校で習って18歳の時にまた一つチャンスがあって、ロンドンに行きました。
小さいころからあの山の向こうに行きたいな、海の向こうにも行きたいなと思っていた。
それが実現したころ弾いていた曲はショパン。ショパンも20歳くらいの時にポーランドを離れてフランスに移り住んで。でも結局39歳で死ぬまで二度とポーランドに戻ることができなかった。だからか、そういうやや暗い感じと懐かしんでいる感じとが出てくる。
M3 ショパン:幻想即興曲
6年間ロンドンの町に住んで勉強して色々な国にも行った。でも日本の裏側から日本を思い出したりしていた。両親に手紙とかを書いていた。
ここに持ってきたのは1991年のノート。両親に、3日と開けずに仕送りありがとうとか、レッスン中に弱気になったりつらかったりしたことも書いていました。色々な人に励まされて過ごしたし、それで日本のいいところもわかったような気がする。
アクシデントもあって、それで強くもなれたし、人に助けられて生活していたのもイギリスの思い出のひとつ。
エルガーというイギリスの作曲家は、威風堂々とか<弾く>を書いた作曲家だけれど、、貧しかったから奥さんにプレゼントするつもりで曲を書いた、といわれている曲。
M4 エルガー:愛の挨拶

さて、これからここにあるスクリーンを使って、音楽と絵とお話を一緒にやってみたいと思う。この絵を描いたのは名古屋の石黒みさきちゃんという小学校4年生の子供。彼女はドビュッシーの月の光、という曲を練習しながら、弾いているとこんな感じがする・・といって絵本を書いていった
今日はかわの先生にお願いして読んでもらいたいと思います
M5 ドビュッシー:月の光
どうでしたか?
えはもう一つ違うお話を・・
この地方の昔話。先生に読んでいただいて、私はその話にこの場で即興で音楽をつけてみたいと思います、ではお願いします
M6 雷の恩返し(即興演奏)
音楽は耳だけで楽しむものでもなく、すべての感覚を使って、一生楽しんでほしいと思う。
みんなの作文を何回も何回もよんで言葉を集めてみたら、先生に対する感謝の言葉が多いと思った。それがとても印象に残った。怒られたりしたのも印象が深かったみたい。いつも優しい先生は怒ると怖い、と言うのもあった。サッカーの先生はウィースと言いますとか、先生パワーで楽しくなったとか、竹ごはんを炊いたとか、先生の手が汚れるまで作ってくれたとかいうのもありました。
歌詞の中にみんなの言葉全部は入れられなかったけれど、「ありがとう、一生忘れない」という言葉を大事にして、それを忘れないで生きていってほしい、という気持ちで詩と曲を書きました。みんな練習はしていてくれたかな?<事前にカラオケのピアノ演奏と歌のメロディを送付済み>一度歌ってみましょう。
M7 今野尚美:ありがとう(南津留小学校の文集から歌詞構成)
    一回目:練習
ちゃんと練習をしておいてくれたのであんまりいうことはありません。すごくいいです。では最後に、先生に前に出てきてもらって、みんなの顔を見てもらいながらもう一回歌おう
<再度歌う>

お礼の言葉
記念撮影

終了


早川恵美さんのぴあのあうとりーち [ピアノ]

雪ではないかと思われたがこの日の午前までは持ってまあまあの天気の中で行われた。コミュニティ型は当日まで何人来るかわからないのでちょっとハラハラする。ここは館長さんの雰囲気がよかったので(館長さんの社交性はなかなか大事である)比較的安心。
早川さんは、前回少し失敗をして心配したのだけれど、今回は演奏も非常によく、話もスムースにできた。彼女の演奏は、いい時にはものすごく深いところまで来るのだけれど、今回はかなりいいほうだったと思う。今年最後にいい演奏をしてもらえてよかった。

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2009年1月24日(土) 11:00-12:00
北九州市 本城市民センター
早川恵美(Pf)

所長挨拶
入場 
M1 幻想曲「さくらさくら」平井康三郎
今日は。ピアノの早川恵美です
私は南区のほうに住んでいるのですが。南区では雪が積もりやすいので心配でしたが天気になってよかった。
今日はいろいろな曲を弾いていこうと思います
今のはさくらさくらを使った変奏曲。この曲の真ん中あたりに<弾く>こういうところがあったけれど、これは太鼓の響きという注意書きがある。ということは右手は笛の音かな思って弾いていました。
私は音楽は言葉のない手紙だと思っていて、演奏家は作曲家が何を思い生活をしていたかを想像し、探しながら演奏している。今日は少しメッセージを想像しながら聴いてもらいたいと思います。次はドビュッシーの塔という曲を弾きます。
M2 ドビュッシー:塔
フランスでは党というとエッフェル塔を思う人もあると思う。ドビュッシーは行くことのできないアジアにあこがれて行きたいと思っていた。だから「想像の中の旅」としての曲。アジアの塔をイメージして作った。
ドビュッシーはもうひとつ想像の旅をした曲がある。スペインのアンダルシア地方。これは独特のリズムがある<弾く>カルメンのハバネラのリズム。スペイン独特のリズム。次の曲はずっとハバネラのリズムが聞こえている
M3 ドビュッシー:グラナダの夕べ
ドビュッシーは、もう一曲「雨の庭」を加えて「版画」という名前で曲集にしている。3番目の雨の庭を演奏する
M4 雨の庭
この雨の庭という曲は、私が昔練習をして弾けるようになった時に、講習会を受けたが、先生が大笑いをして「これは雨の庭であられや雹の庭ではない」といわれた。その時に、音楽は正確に弾くことだけではなく意図したことをいかに伝えるかが大事だと悟った。
ピアノは弾き方で様々な音がするが今日はピアノの中をお見せしたい。ばらばらにはできないので、このカットモデルを持ってきた。<カットモデルを見せる>鍵盤を押すことでハンマーが上がって弦をたたき弦を震わせる。ハンマーがなくても振るわせれば音がするはず。手ではじいてみる<はじいて音を出す>爪で弾いても音は出る。ピアノの前身のチェンバロがそうだった。でも音の大きさの調節ができないのでピアノが開発された。大木直人を出すために響板があって振動が駒を通じて響板に伝わって音がでる。
一寸手伝ってもらいたいのだけれど、オルゴールを持ってもらって、響板にくっつけてもらう(響く)
ピアノのしくみがわかったところで、もう一曲、月の光
M5 月の光
月は精神に関係していると昔から思われていた。狼男の伝説もあるね。
次に弾くベートーベンの月光ソナタはある人が湖のさざ波に映る月の光のようだといったことから月光というようになったがもともとは名前はなかった。でも人の気持ちに関係があると思っている。ベートーヴェンはみんなも知っての通りちょうどこのころ耳の変調に気づいた頃に書かれた曲。不安や希望や怒りなど色々な気持ちが激しく変化しながら出てくる曲だと思う。
M6 ベートーヴェン:ピアノソナタ「月光」
花束
終了

北九州早川恵美さん(ピアノ)のアウトリーチ [ピアノ]

北九州の今年度の演奏家の3回目である。前回2回目の時には私が時間が無き来れなかったのと、今回小学校でやったので(小学校の方がやるべきことが明快のように思う)見せてもらった。北九州は毎回終わったあとで反省会があるので、ちゃんと聞かないと話すことが見つからなかったりする。進行案を書き、感想をメモり、写真を撮って・・と言う感じになる。今回早川さんは、アイデアをいろいろと考えているみたいだったが、ちょっと整理がついていない状態で本番を迎えてしまった感じもある。途中経過としてはとても嬉しいのだけれど・・。
080924早川1.jpg

2008年9月24日 10:50-11:50
北九州 若松区 藤木(ふじのき)小学校 4年生
早川恵美(ピアノ)
【用意したもの】 ピアノカットモデル、オルゴール、トライアングル
         ベートーヴェンの写真
         右左右左の紙  感情の紙(哀、喜、怒・・・など。白紙)

こんにちは。ピアノの早川恵美です。今日はピアノのことをわかってもらいたくて来ました。まず一曲弾きます。みんな知っているかもしれないけれど、知っていても言わないで、後で聞きますから。
M1 トルコ行進曲(モーツァルト)
聞いたことがあったという人?
曲の名前は、3つ言うから手を上げて
① トルコマーチ、②トルコワルツ ③トルコ行進曲
3が一番多かったけれど、実は1も正解。じゃあワルツというのは?
3拍子でゆっくりした曲。じゃあマーチは何拍子?
そう2拍子。歩くときの曲だから右左右左。
みんな心で感じてもらいたい。こんなリズムがトルコ風。
続けてみて・・・ここに曲を入れます
M2 トルコ行進曲(ベートーヴェン)  ※途中まで
同じリズムってなんとなくわかった?大体250年位前にたくさん取るこのリズムで作られた曲がある。
トルコって?(国、トルコアイス・・)
ヨーロッパとアジアの境目の国で独特の文化を持っている。
今弾いた曲をつくった人知っている?(・・・)こんな曲も作った人<運命冒頭>
ベートーヴェンはドイツの人で、彼は散歩がとても好きだった。
次に引くのはとても静かな曲。座って静かに聴いてみよう。
何かを思い浮かべてみるといいのだけれど、何か色を考えてみて
M3 ベートーヴェン:月光 第1楽章
この曲も聴いたことあるかな?(半分くらい)これは月光という曲の初めの部分だったけれど、何色が浮かんだかな(黒、緑、暗い青、黄・・)
色以外のものが浮かんだ人(やさしい、夜の空、悲しそう)
私の想像しているのと案外ぴったりきている。
ベートーヴェンはある病気にかかったのは知ってるよね(耳が聞こえない)
ピアノを弾くのに何を使う?(腕、耳)そう、その耳が聞こえないと弾けないね。
この曲を作ったころはちょうど耳の病気になったころ。そういう気持ちもあったかもしれない。

今弾いているときに足を見ていた人はいるかな。左足でペダルを踏んでいた。
このペダルで音は?(小さくなる)。明るい色でなくなる。ではここでピアノの中を説明したい。
これはカットモデルといって、鍵盤のところ。鍵盤を押すと弦をたたく。そのたたいた振動で音が出る。じゃあみんなそばに来て。
※ ピアノの説明 弦に触る。オルゴール
じゃあ、そのままの場所で一曲聞こう。
M4 ショパン:革命
どうだった?(全体がつながっていた)
ではこの右のペダルは?どんな役目だと思う?(響かせる)
じゃあ、これ(ダンパー)は?。なった音をとめる役目。
ちょっとトライアングルで実験しよう。なった音を止めるには? そう触る。
左のペダルをよく見て(動く)そう、ハンマーが少し動のでたたく弦が変わって音が小さくなる。
今の曲、どんな感じがした?(激しい、怒っている)
ショパンは39歳でなくなるまでに200曲以上のピアノの曲を作った。彼がポーランドで戦争に巻き込まれた。ロシアとの戦争に負けたことを聞いて怒って、悲しくて一気に書いたといわれている。
じゃあみんな席に戻って・・
音楽は人の気持ち、いろいろな気持ちを表すけれど、どんな気持ちがあるだろう。思いつくのは・・・
そう、明、暗、怒、寂、楽、喜、悲 そうね、最後にこれは白。何でもいい、みんなが書く。
さっき聞いてもらった月光には続きがある。さっきのは第一話。2,3話を続けて弾く。
私はかれが、病気が治るかもという気持ちもこめられているかもしれないと思う。みんなはどう感じるだろう
M5 月光 第2楽章、第3楽章。
お礼の言葉
礼奏(リコーダーで)

では最後に、さくらさくらを・・。できれば一緒に歌って
アンコール さくら桜変奏曲

終了

白石光隆、長崎城山小学校、ソロのアウトリーチ [ピアノ]

城山小学校.jpg久しぶりだけれど、夏はあんまり書くことがない。アウトリーチがあんまり無いのです。長崎で学校の先生向けのアウトリーチに白石さんと一緒に行ったので。先生向けは一種の広報活動であって、どんなことが現場で行われているかを知ってもらうのが眼目。その翌日、ふれあいセンターと小学校(育友会の主催)にいった。
白石君は本当にソロに立ち会うのは初めて、田中組とかとの時とはやや趣が違い、理路整然としている感じがする。かれは頭の回転が非常に良いため、話が早い。でも、子ども相手だとちゃんと考えて進めるのがすごい。とはいえ、鉛筆の方が追いつかなくてメモがかなりいいかげん。ご勘弁を。
白石君が、ここの父兄から送られたかよこ桜の本(原爆がテーマ)に触発されて弾いたのは夜鳴きウグイスだけど、なかなか良い出来だった。この回が一番演奏は良かったかも知れぬ。

2008年8月23日(土) 16:00-17:00
長崎市 城山小学校 育友会主催(生徒60名、大人40名ほど)
白石光隆(ピアノ)
※ 子どもは前方で床に、大人は後ろで椅子に着席

あいさつ
白石入場
M1 グルック=ブラームス:ガヴォット
みなさん今日は。白石光隆です。今日は1時間ほどですが、ピアノを使っていろいろなことをしてみたいと思います。ざっとヨーロッパを一周する感じで進めます。
今弾いたのはグルックのガヴォットという曲。グルックはハイドンやモーツアルトと大体同じ時代、200年から250年前くらいに活躍していた作曲家です。彼が主に書いたのはオペラという歌を歌いながら演技する曲。でも、それまでは主役の声を見せるのが中心だったのを、物語と音楽と配役のバランスをとった曲を作った。この曲はグルックのオペラの中の一曲をブラームスがピアノのために編曲したもの。ブラームスはこの曲をシューマンの夫人クララに献呈した。シューマンはそのころ心を病んでいて、数年後にライン川に身を投げるのだけれど、そのあと、ブラームスが献身的にクララをささえたが、その気持ちがそれ以上の気持ちになっていく。
次はドビュッシー。20世紀のフランスの作曲家です。フランスのお金は今はユーロだけれど、昔はフランという。その20フラン札はドビュッシーの肖像が使われていた。日本では考えられないけれど。日本は誰か知ってる?(野口英世、樋口一葉・・・)
次は水の反映。ドビュッシーが1905年に書いた映像という曲集の中の第1曲。水の様子をあらわしている。
耳は何を判断できるかというと、音の高さ、強さ、長さ。それだけなんだけれど、でも楽しめるのは、他の感覚があるから。例えば、キラキラした(目)、ざらざら(手)、甘い音(口)香り高い音(鼻)。他の感覚を使って受け止めるから面白い。
夜の湖の水面お思い出してみて・・。満月が出ている、そこに風が出ると光が揺れたり動いたりキラキラしたりする。そんなことを考えながら聴いてみてください
M2 ドビュッシー:水の反映
動きとか、感じるものがあった?
今度はベートーヴェン。音楽っていうのは大体3種類。1つはタイトルのある曲。踊りの音楽。それから形の音楽。
バッハや、ヘンデルの絵が音楽室に飾ってあるのしってるかな。変な髪の毛をしていたよね。あれは、カツラ。家に帰ってお父さんがあんなカツラしてたらいやじゃない(いやー)
その時代には、出入りしている家が良いところだとカツラがハデになる、ということがあった。それで、自分はえらい人のところに言っているぞ・・と争っていた。
じゃあベートーヴェンは? あれはカツラじゃない。それまでは誰かのお抱えだったのだけれど、ベートーヴェンからは自立した作曲家になった。だから音楽も自分の気持ちとか社会の様子をあらわして訴えていくようになった。
ベートーヴェンは30代でどこかが悪くなるんだけれどしってる?(耳)
そう、耳が悪くなって、それで遺書まで書いた。でも立ち直ってまた曲を書き始めた。有名でみんなの知っている、英雄とか運命とか、皇帝とかの曲はほとんどそのあとに書いた作品です。
次の曲は変奏曲という形の曲。はじめの主題はトルコ行進曲で、それがいろいろと変化するけれど、そのメロディはどこかにいる。では聞いてください
M3 ベートーヴェン:創作主題による6つの変奏曲
次はピアノのことを・・。家にピアノのある人は?(手が上がる)。沢山いるね。じゃあピアノを初めて見た、と言う人(・・)それはいないね。
ではピアノはなんで出来てる<黒いところに触る>(木)。何の木かな(・・・クヌギ?・・・)
松の木です。その辺の松ではなくルーマニアンスプルースという松の木を使う。それをまず12年間水につけ、中の虫とかいろいろなものをきれいにして、そして、外で8年間干す。だから新しいピアノでも20年もの。
ではピアノというのはいつ頃生まれたのか。50年くらいだと思う人?、100年?(手が上がる)200年、300年、500年?
そう大体300年前、1709年に、オリンピックで有名になったイタリアのトリノでクリストフォリという人が作った。その頃は小さくて、鍵盤も今の半分しかなかった。だからあんまり人気もなかった。150年くらい前にこの形になった。
今日はピアノの知らない内蔵の部分を見せてしまう(内蔵!。内蔵はないぞうで盛り上がる)<解体する>(壊す気だ!)
じゃあ、前から一列ずつ出てきて触ってみよう。
ピアノは木とか羊の毛とか自然の材料をたくさん使っているので生き物。気候とかでいろいろと変わるので大切に使おう。
次はラフマニノフ。かれはマルファー症候群という病気で、それは末端が肥大する。だから彼の手はとても大きかった。ドからラまで届いた。私も大きい方だけれどドからファまで<手を見せる>これからあと鍵盤2つ分大きい。すごいでしょ。
この前奏曲は彼が弾くと手が宙を踊るように見えたので大変人気があった。
M4 ラフマニノフ:前奏曲作品3-2
次はショパンの即興曲第3番。150年前にピアノが今のように完成されたときに力になった人。そのピアノのために喜んでたくさんの曲を作った。
彼の時代には他にリストもいるけれど、それ以外にもたくさんのピアノの名手はいた。でも21世紀にも残るのがリストとショパンなのは、彼らがその力を演奏だけでなく、表現するために使ったからだと思う。
M5 ショパン:即興曲第3番
次はスペインの方。グラナドスという人が作った曲。
かれはゴヤの描いたマハとマホという美しい女の人と男の人を書いた版画にインスピレーションを受けて、曲を書いた。それをゴイエスカスという曲集で出版し、そのあと、それがオペラにもなった。それがニューヨークで大成功したので、大統領がワシントンに誘い、その為に乗る船が一日遅くなった。その船が帰る途中ドーヴァー海峡でドイツの潜水艦に沈められて命を失った。
夜鳴きウグイスはナイチンゲールともいう。夜鳴く鳥って知ってる?(フクロウ)あそうだね。でも普通は鳥は夜は眠る。ナイチンゲールは夜鳴く珍しい鳥だけれど、とても美しい声でなく。ひとが、それを聞きながら思いを寄せる人の窓辺にいって声を聞かせて欲しいと思いを託した。曲の最後にウグイスが鳴くところがある。そのときに誰かに思いを寄せて聴いてほしい。
M6 グラナドス:嘆き、またはマハと夜鳴きウグイス
今聴いたクラシックという音楽は美しさの追求だと思う。いろいろな人が美しいと思うものを受け継いでいくこともの。美しさといっても、景色とか色とかいろいろとある。
その為にはいるも美しいものを求めたり、出会ったり、美しいものを見たるする事が大事。その中でも一番は美しい言葉だと思う。ありがとうって漢字で書ける?(えー)
有難うってかく。本来あり得ないことがここにあることに感謝しようという意味がある。日本語にはそう言う深い表現がたくさんある。そう言うことを感じると良いと思う。
最後はファリャ。火祭りの踊り。トマトまつりってしってるかな。みんながトマトを投げ合って、道がまっ赤になってしまう、盛り上がっていくお祭り。そんな感じを思いながら聞いてください。
M7 ファリャ:火祭りの踊り

会長あいさつ
花束
ショパンの夜想曲、心を静めるために目をつぶって聞いてみて。
アンコール:ショパン:夜想曲第2番

終了


北九州 早川恵美さん(ピアノ)のアイデア [ピアノ]

早川恵美さんは、はじめにアイデアを出していただいたときから、月光を全曲、というプランを持っていた。こう言うのは、テーマが明快にしやすくやることを絞り込みやすい。それにやりがいがある挑戦である。
こどもをピアノの周りに寄せたときに、あまりの勢いで来るものだから少し怖くなってしまったみたいなのは、なるほどそうだよなあ・・と思ったが全体にはまとまりのあるアクティビティだったと思う。

城野小・早川さん1.jpg

2008年6月4日(水) 10:30-11:30
北九州市 小倉南区 城野小学校 5,6年生50数名 早川恵美

先生の話
入場
城野小学校5,6年生の皆さんこんにちは(こんにちは)私はピアニストの早川恵美
ピアノ聴いたことのある?(ほとんど全員)
まず一曲弾いてみる。それはどんなタイトルだか当てて欲しい。
1, 花のワルツ、2,火祭りのおどり 3,天使の子守歌
じゃあ弾いてみるね
M1 ファリャ:火祭りのおどり
どれだと思った?  じゃあみんなで言ってみよう。せーの。(火祭りのおどり)
この曲は悪霊をはらうためのおどりの曲だと言われている。元々はオーケストラで弾かれる曲。物語がある。ある未亡人は人を好きになったけれど,死んだ前の旦那が邪魔をする。その悪霊をはらう曲。
背景がわかるとわかりやすい
次の曲は・・誰でしょうか<運命冒頭>(ベートーヴェン)(運命)
彼は何処の国の人(ドイツ)ドイツは日本から12時間位もかかる。
ベートーヴェンってどんな顔してた?(鬼)<絵を見せる> この絵は優しい顔をしているね。
次に弾く曲は月光という曲。コマーシャルでも使われたので知っているかも・・・
静かな曲なので目をつぶって何かを想像してみてください。
例えば色とか・・どんな色のイメージかな。これには正しいとか間違っているとかはないので自由に想像できるね。
M2 月光 第1楽章
何色を感じたかな?(黒、シルバー、薄緑、紫・・・・・)他に色でなくて何かが浮かんだ人。(花に囲まれた小さな家。夜,ベッドと椅子がぽつんとある。誰かのお鼻など)
これだけ一つの曲でもいろいろなイメージがあり、いろいろのことが想像できる。
ベートーヴェンも何かを表現したいとおもいを託していて、演奏家の私もそれを考え勉強して解釈して聴いてもらうのが仕事。でも、聴く人がいろいろなことが想像できたのはとても良いと思う。みんながそんなに想像力を持っていることが嬉しい。
そのような音楽を創っているピアノという楽器について説明したい。
まず、音を出すにはこの鍵盤を押しますね、そのあとが見えないので、このカットモデルを借りてきた。此処を押すとこのハンマーが上がって此処を叩く。此処がちょうど弦になる。みんなピアノの周りに来て・・
ピアノの此処を触ってみて(弦を触らせて叩く)。弦が震えているのがわかったかな。ハイ戻って。代わりにオルゴールに弾いてもらう。何の曲<音は小さい>(エリーゼ?)
そう、此処にある木の板(響板)が音を大きくする役割。オルゴールを此処につけてみると・・(拍手)この響板は大事で、木を10年も乾かしてつくる。
ピアノは木、金属、フェルト、プラスチックなどたくさんの部品で出来ている。部品は大体1万個くらいある。
でも、今日のこのピアノは下見に来たときに鍵盤が割れていた。で先生が直してくださった。だから大事に使ってね。
さて、鍵盤には黒いところと白いところがある。昔は何故か逆だったらしいのだけれど。
千木にもう一曲。ちょっとこっち側に来て(下手)手をみてください。特に右手を見て。
M3 ショパン:黒鍵
どうだった。何か気がついた人。右手が黒いところした弾いてなかった。それで黒鍵という名前が付いた。

ピアノはこのペダルというものがあって、ダンパーを上げたままだとこうずっと鳴ってる。下げると止まる。左のペダルは?(動いた)鍵盤をずらす。

ここでもういちど想像の世界に。
さっきの月光の曲は続きがあって第1,2,3楽章で一つの物語になっている。ベートーヴェンはちょうど20代の終わり頃、耳が悪く鳴り始めたころです。だから、この曲にはいろいろな気持ち、「何で私が」「直るかも知れない」などがはいっていると思う。
人の気持ちにはいろいろなものがある。<ホワイトボードに、○に感情を書いた紙を貼る。楽、喜、明、暗、怒、悲、哀、白紙>
色々あるけれどこの白いのはなんだろう。そんなことも考えながら聴いてみてください。
2話3話を続けて惹きます。
M4 月光 第2,第3楽章
いろいろな感情があると判ったと思うけれどもまた、他の曲を聴くときも想像してみてくれると嬉しいです。
普通は3つの話しを一気に弾くけれど、ドイツに留学していたので私は,ドイツの森を思い出す。栗鼠が入ってきたりとか・・・湖とか。
1, 森の夜、弱い月の光が入ってくる
2, あさ、動物たちが動き出す
3, 嵐
と言うことを感じながら弾いています。

先生  じゃあ、みんなから感想。
・ 手が早くてたくさん練習したんだなと思った

(過去のデータ4)台本をつくってきた村田千佳(ピアノ)と山本彩子(チェロ) [ピアノ]

これは、2003年(だと思う)に月島第1小学校でやった時のアクティビティ。
この会は、学校の先生が音楽室にあって使っていないチェロの話しをされたことからチェリストが行くことになったもの。学校では事前に子どもたちにチェロを触らせており、興味を持ってくれていたのが良かったと思われる。最後にチェロ体験をしたはずだ。
このメモは村田千佳さんが、完全版の進行台本を用意してきたのを、そのままもらい受けたもの。みんなの勉強に使わせて,とお願いしていただいたものなので,まあ発表しても良いだろう・・・。
村田さんは,これを書くことで、自分の論旨が明快になっているので、進行的には少ししか言うことはない。このくらいの準備をしても良いはずだ。いちどランスルーのようにして声を出してみる、というのも必要なことで、それは音楽の練習と変わらない。
このあたりの考え方は演奏家によってまちまちであるし、その場で上手く盛り上げることができ、うまくいってしまう人もいるに入るのだが、こういう事業は事業としての形を作らないといけないとすれば、後は演奏家任せというのもいけないのだろう。難しいことだ。
以下3年生向けの村田さんの台本そのまま。

3年生 54人

みなさん、こんにちは! 村田千佳です。山本彩子です。みなさんに会えるのをとっても楽しみにしていました。今日は一緒に音楽を楽しみたいと思います。
ではまず、チェロという楽器の紹介をしてもらいましょう。

*楽器紹介 チェロ 

一つめの曲はエルガーの愛の挨拶です。エルガーが奥さんの為に作った曲です。
さっきは言葉で挨拶しましたが、今度は音楽で、みんなに挨拶したいと思います。

調弦あり
1. 愛の挨拶 

どうもありがとうございます。では次は、チェロの名曲を演奏したいと思います。
サン・サーンスの“白鳥”という曲です。みなさん白鳥はテレビや本で見たことがある?もしかして実際に見たことがあるという人もいますか? 見たことがある人は白鳥が泳いでいるところを想像しながら聴いてください。見たことのない人は曲を聴きながら、どんな鳥かな~って考えてみてください

2. 白鳥 

ありがとうございます。白鳥がスーツと泳いでいるところが浮かんだかな。これはおまけですが、白鳥は優雅できれいに見えるけれど、水の中では一生懸命足で水を蹴って進んでるんです。外から見えないところで頑張ってるんですね!

では、3曲目は私が一人で弾きます。
ピアノという楽器、白い鍵盤と黒い鍵盤、2種類の鍵盤でできています。白い鍵盤のことを白鍵、黒い鍵盤のことを黒鍵といいます。
今日演奏する曲はショパンという作曲家が作った、なんと右手は黒鍵しか弾かない、特別な曲です。だから、この曲は後から「黒鍵」という名前が付けられました。

みんな、右手が本当に黒いところしか弾いていないか、よおく見ていてください。
後ろの席の人は見えなかったら立っていいよ。
とっても速い曲なので、見逃さないでね。

3. 黒鍵

どうもありがとうございます。

*チェロソロ 話

4. バツハ:チェロ組曲 

どうもありがとうございます。次からはまた2人で一緒に弾きます。
今度は、ストラヴィンスキーのイタリア組曲。イタリアと名前のついた曲ですが、ストラヴィンスキーはイタリア人ではなく、ロシアで生まれたロシア人です。イタリア組曲という題名は、イタリア人が作ったお話に彼が曲を付けたところから、そういう名前が付きました。
どんなお話かというと、「プルチネッラ」という男の人が主人公の物語です。プルチネッラは、とっても色男。みなさん、色男ってわかる? 色男というのは、女性にすごくモテるんです。だけど、簡単には振り向かない。そんなプルチネッラが、最後には一番好きな人と結婚する、というお話です。
今日はこの5つある組曲から、3曲弾きたいと思います。
1曲目は、序曲で、これから物語が始まりますよ~という曲。
2曲目は、セレナータ。これは、好きな人に求愛、自分の気持ちを伝えている場面の曲です。
3曲目は、タランテラで、みんなが楽しくお祭りをしている様子です。
いろいろ想像しながら楽しく聴いてください。

調弦あり
5.ストラピンスキー:イタリア組曲(序曲,セレナータ,タランテラ)

どうもありがとうございます。
どうだったかな?なんとなく場面の雰囲気を感じてくれたかな。
それからチェロがいろんな弾き方していたの、気付いた人もいたかな?
最後はお祭りの激しい曲だったので、次はゆったりした曲を聴いてください。
パラディスのシチリアーノ。
パラディスという人は、モーツアルトの友達だった女の人です。彼女は生まれたときから目がとても悪くて、あまりものを見ることができませんでした。でもとても音楽の才能があって、ピアノもオルガンも弾くことができました。目を閉じても、光って感じるよね。この部屋は明るいとか、ここは暗いな、とか。音楽は光を表すこともできると思います。
やわらかい、あったかい光をパラディスは音にしてくれました。    

6.パラディス:シチリアーノ 

ありがとうございます。
みんな音の光を少し感じたかな。
では、最後の曲、カザルスの鳥の歌です。この曲は、スペインのカタルニアという田舎の民謡なんです。ところでみんな、2ケ月前にこの地球で戦争があったの覚えてる? アメリカとイラクが戦争をして、たくさんの人の命が失われました。
もし、日本が戦争になって、みんなの住むところや、食べ物がなくなって、日本にいられなくなったら、どんな気持ちがしますか?

そう。嫌だよね悲しいことがたくさん起きちやうよね
今から70年くらい前にスペインで戦争が起きました。そのためにカザルスは自分の国を出て、よその国で暮らしました。戦争がない平和な世界を望んで、死ぬまでずっと平和にしようよ、平和にしようよって、そういう気持ちでこの曲をチェロで弾いていました。
そしていつもこういいました。「カタロニアの鳥たちはpeace peaceと鳴く」
ピースというのは英語で平和という意味です。
では、「鳥の歌」を聴いてください。

カザルス:鳥の歌

どうもありがとう。ちょっと悲しい気持ちになるような曲でしたね。
戦争はいやだな~って本当に思います。

さて、このまま終わるのは寂しいので、みんなで一緒に校歌を歌いたいと思います!
それでは、元気に校歌を歌いましょう!

8.校歌

どうもありがとう!
***
みんながたくさん拍手してくれて嬉しいので、もう―曲弾きます。
多分、最近みんなどっかで聴いたことあるんじやないかな。
もし知っていたら一緒に歌ってね。

9.世界で一つだけの花

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